プリーツやシワ加工などは、素材によって保持性が異なります。
今回は、保持性がないレーヨンのシワ加工消失の事例を紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
クリーニング後、全体的にシワ加工がなくなった感じがするとお申し出があったもの。
シワ加工の保持性のない素材であるレーヨンを使用しているため、クリーニング処理を行ったことで、消失した可能性が考えられる。
シワ加工やプリーツ加工を施す場合には、できる限り加工を保持するような方法で行うことが望まれる。
クリーニング事業者は、取扱表示や組成表示を確認し、加工が消失しないように適切な処理を行うこと。
一度消失すると、再加工は困難。
綿やレーヨンなどのセルロース系繊維製品は、加工に対する保持性がなく、樹脂加工などによって耐久性を保持している。
ただし、取扱表示や組成表示を確認しただけでは、耐久性を持たせるための処理が行われているか否かについては判断ができないため、十分な注意を要する。
クリーニングでは、水洗処理やスチームなど水分を使う処理は避けることが望ましい。
ポリエステルやナイロンなどの合成繊維製品、アセテートの半合成繊維製品は熱可塑性(常温では変形しにくいが、加熱で軟化して成形しやすくなり、冷やすと再び硬くなる性質)を利用して様々な形状を作ることができ、保持性にも優れている。
しかし、加工後の熱に弱いことから、取扱いには注意を要する。スチームによる仕上げは、短時間でも温度が高く熱量も大きいことからタンブル乾燥以上に影響が大きいため、スチームボックス、スチームトンネルでの仕上げは不可。プリーツは形を整えてバキュームなどで固定し、浮かしアイロンで軽くスチーム仕上げを行うことで、ある程度再現はできる。
3㎏/㎠の蒸気圧(約120℃)で30分間蒸熱処理し、プリーツを固定したポリエステルの生地をタンブル乾燥する実験では、70℃・20分間の条件でプリーツが開き、保持性が低下し始める結果が報告されている。
また、同じタンブラー乾燥機を使いタンブル内の温度とタンブル内胴の表面温度を測定した結果では、タンブル内の温度が60~62℃の時、内胴表面温度は72~85℃になることが確認されている。
高温度に加熱されるタンブル内胴との接触にも考慮した温度管理が求められる。