羽毛製品は冬の防寒着として定着しましたが、いまだに羽毛の膨らみがなくなった、羽毛が吹き出した、シミになったなど様々なトラブルが生じています。
今回は、羽毛製品に特有の事故事例を紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
クリーニング後、裾の大きなキルティング部分の羽毛が下の方に片寄ってしまったもの。ウエスト付近の細かくキルティングが入っている部分はあまり変化していない。
片寄った羽毛は絡み合って塊状になっている。
洗濯機による水洗い処理やタンブラーによる乾燥処理が原因になって、中の羽毛が絡み合い塊状になったもの。
洗濯機による水洗いやタンブル乾燥による機械的作用が原因になっているため、取扱表示に準じた石油系ドライクリーニングを行うこと。水洗いを行う場合には、機械力がかからない洗い方や乾燥方法を工夫すること。
ガチョウやアヒルなどの水鳥から採取される羽毛には、ダウン(ワタ羽)とフェザー(羽根)の2種類があり、通常は両方を混合して使っている。
一般にはダウンの混用率の高いものほど高級とされており、中わた素材として優れた保温性、吸湿性と透湿性、圧縮回復性などの機能を持つ。
水鳥の胸の部分に生えているワタ羽のダウンは、タンポポの種子のような形状で、中央に核(元羽軸)を持ち、ここから放射状にしなやかな羽枝が伸び、さらにその左右に小羽枝がついている。
羽毛の羽枝には絡みあわず反発しあう性質があり、羽毛のよじれや型崩れを防止すると同時に、何回折り畳んでもすぐに元の形に戻る。しかも、その反発が瞬間的なため、かさ高性も直ちに回復し、羽枝の間に再び多量の空気を含んで保温性も保たれる。
品質の優れたダウンが十分に詰め込まれている製品であれば、羽毛製品に特有の膨らみの減少や中わたの片寄りなどは生じにくい。
羽毛自体はウエットクリーニング、ドライクリーニングどちらも可能だが、取扱表示、使用素材・生地加工、汚れの程度などを総合的に判断して、クリーニング処理方法を決める必要がある。