ムートンや天然皮革はファッション素材として定番になっていますが、その特性については十分に理解されていない部分もあるようです。
今回は、動物から剥いだ皮を利用するムートンや皮革製品にみられる特有の変化について紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
クリーニング後、左右の袖の風合いが違うとの申し出があったもの。その他、前後身頃など、各所のパーツでも縫い目を境に毛並みや風合いが異なった状態になっている。
動物の皮を剥いで加工するムートンは、工業製品のように毛並みの状態などが均一でないために生じる現象。天然毛皮では、こうした特性が十分に理解されていないためクリーニングで顕在化した変化がトラブルになる。
ムートン毛皮の特性であるため、抜本的な解決方法はない。
ムートン製品をクリーニングで受ける際には入念なチェックを行い、クリーニングによってパーツごとの状態の変化が明瞭になる可能性があることを利用者に伝え、了承を得た上で処理すること。
汗による事故としては、変色やシミの他に、紫外線との複合作用による変色、着用摩擦などを受けやすい部分に生じる毛羽立ちや毛製品のフェルト化、絹製品に生じやすい黄変と脆化などがある。