お知らせ

衣料管理情報(クリーニング注意情報)
「衣類害虫による食害」

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クリーニング綜合研究所には、衣類害虫による食害事故の鑑定品が季節を問わず送られてきます。衣類害虫の食害によるトラブルを回避するためには、品物を返却する際の情報提供が有効な手段になります。
今回は、クリーニングによって衣類害虫による食害が明瞭になった可能性がある事例を紹介します。

監修/クリーニング綜合研究所

衣類の状態

ワンピースの各所に3~8㎜程度の穴が生じている。ワンピースの生地には数色の糸が使われている中で、穴あき部にはグレー色の糸が残留している。

ワンピース
穴あき部分に一部、グレー色の糸が残っている
 

原因

毛繊維を中心に、衣類害虫による食害を受けて穴あきが生じたもの。洗浄前の検品では特に目立った異常は認められなかったとのことであり、洗浄により食害を受けていた毛繊維が脱落した可能性も推測される。
原因が衣類害虫による食害であることは、繊維に特有の形状が残っていることから判断できる(顕微鏡写真)。

衣類害虫の食害に特有の形状が確認できる

 

事故の防止対策

利用者が衣類を長期保管する際、防虫剤等を適切に使用することが基本となる。
原因が食害と分かっても、食害を受けた時期や場所を特定することはできない。クリーニング前に受けた食害が洗浄後に明瞭になる場合もあるため、事故原因がクリーニング処理によるものと利用者から誤認されないように対応することも必要となる。
受付時および返却時に異常がないことを相互に確認すること、また、処理中に異常が生じた場合には速やかに利用者に報告し、必要な対応を取ることなどの重要性は常に指摘されるところである。
衣類害虫による食害は恒常的に発生しているため、利用者に食害が生じやすそうな衣類や時期などについて注意を喚起することも有効な対策になる。

衣類害虫

繊維を食害する虫の主体は、ヒメマルカツオブシムシ、カツオブシムシ、イガ、コイガの4種類の幼虫。いずれも、ケラチンと呼ばれるタンパク質を分解する能力を持っているため、繊維そのものを栄養源として生育することができ、羊毛、毛皮、皮革などを食害する。
イガとコイガは、気温の比較的高い初夏から秋にかけて幼虫が活発に活動し、繊維を食害する。幼虫は巣を作り何匹も固まっていることが多く、成虫は小さな白い蛾になるので比較的発見しやすい。
ヒメマルカツオブシムシとカツオブシムシは夏から翌年の春にかけて幼虫が長期間活動するが、イガのようには目立たずに散らばっているので、知らない間に食害を受けているケースが多い。

衣料管理情報「衣類害虫による食害」(PDFデータが表示されます)
 
 
 
 
 
 

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