汗で汚れた夏物衣料を扱うことが多くなる時期は、ウェットクリーニングによる事故も多く発生する傾向にあります。
ウェットクリーニングによる事故を防ぐには、その品物が処理に耐えうるかどうかの適切な判断が求められます。今回はその典型例を紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
ベージュの色地に黒色や白色の植物をプリントしたスカート。クリーニング後、ベージュの色地部分がうす黒く着色した。
黒色の染色がウエットクリーニングに耐えられなかったため、溶け出してベージュの色地部分を汚染したもの。
取扱い絵表示では水洗いを禁じていることから、水に対する染色が不堅ろうであることが推測できる製品であったが、夏物であったため汗などの付着を考え、業者はあえてウエットクリーニングを行った。
取扱い絵表示で水洗いを禁じている製品を水処理する場合は、あらかじめ水に対する染色堅ろう度をチェックした上、染色が不堅ろうと判断されるものは、水による処理を避けること。特に濃淡の著しい色柄製品については十分な注意が必要。
汗の除去に部分的な水性処理やウエットクリーニングを選択する場合には、染色堅ろう度のチェックに加えて、次のような事項に配慮を必要とする。