ポリウレタン樹脂などを織編物にコーティングした合成皮革は、天然皮革に比べて安価・軽い・柔軟性に富むなどの特性がある反面、経時劣化が避けられない素材です。
今回は、合成皮革製品の典型的な事故事例である剥離について紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
ジャンパー本体に部分使いされている合成皮革のポリウレタン樹脂が剥離した状態になっている。
組成表示には「一部分 合成皮革使用」と表示されている。利用者からの聞き取りで、購入から7年が経過している製品であることが判明。
コーティングしているポリウレタン樹脂が、長期の使用の間に空気中の水分などによる作用を受けることやクリーニングの処理を繰り返したことで劣化し、剥離したもの。
合成皮革などに使用されるポリウレタン樹脂の経時的な劣化は避けることができないため、抜本的な防止策はない。
ポリウレタン樹脂は空気中の水分による加水分解などにより、通常2~3年で劣化することが明らかになっており、クリーニング事故賠償基準では合成皮革(ポリウレタン樹脂)の外衣の平均使用年数を3年としている。
合成皮革は、織物や編物の基布にポリウレタン樹脂などをコーティング(塗布)したもの。合成皮革の多くは基布とスポンジ層と皮膜の3層構造になっている。剥離は、スポンジ層と皮膜の両方の部位に生じる。
合成皮革製品全般に対して、次のような配慮が求められる。