ポリエステルは熱可塑性を利用してプリーツや凹凸などの加工を保持することができますが、乾燥や仕上げなどの熱で消失することがあります。
今回はブラウスの凹凸加工が加熱静止乾燥により消失した事例を紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
全体的にブラウスの凹凸が弱くなっている。特に両肩や脇部分などの消失が著しく、伸びたような状態になっている。
加熱静止乾燥の熱により凹凸加工が消失したもの。
ポリエステルやトリアセテートなどの凹凸加工は、繊維が持つ熱可塑性(常温では変形しにくいが、加熱で軟化して成形しやすくなり、冷やすと再び固くなる性質)を利用したもので、様々な形状を作ることができ、その保持性にも優れている。
しかし、加工後に加えられる熱に弱いことから取扱いには注意する。
ポリエステルなどのプリーツも同様に熱可塑性を利用しているため、取扱いには注意する。仕上げについては凹凸加工の注意と同様。
3㎏/㎠の蒸気圧(約120℃)で30分間蒸熱処理し、プリーツを固定したポリエステルの生地をタンブル乾燥する実験では、70℃で20分間の条件でプリーツの保持性が低下し始める結果が報告されている。
また、タンブル内の温度と内胴の表面温度を測定した結果では、タンブル内の温度が60~62℃の時、内胴表面温度は72~85℃になることが確認されている。熱可塑性を持つ製品をタンブル乾燥する際には、タンブル内胴との接触にも考慮した温度の管理と取扱いが必要となる。