お知らせ

衣料管理情報(クリーニング注意情報)「紫外線による変色」

このエントリーをはてなブックマークに追加

紫外線が染料に作用することにより生じる変色は、クリーニング後の保管において発生することが多い現象です。今回は、クリーニングによって変色が顕在化した事例を紹介します。

監修/クリーニング綜合研究所

紫外線の影響により変化したセーター
 

衣類の状態

婦人用セーター後ろ側の肩から袖や身頃にかけて、放射状に赤く変色している。仕上げ段階で変色に気づきお客様に伝えたが、クリーニングに出す前は変色していなかったとお申し出があったもの。

 
後ろ側の肩から袖や身頃にかけて放射状に赤く変色している
 

原因

クリーニングで汚れが除去されたことで紫外線による変色が顕在化したもの。変色が放射状であることから、ハンガーなどに吊るした状態で太陽光や蛍光灯に含まれる紫外線の作用を受けて染料が分解し、変色した可能性が推測される。

繊維製品に使用されている染料は、光(主に紫外線)を吸収すると、光によるエネルギーで染料分子が分解する。また、光のエネルギーが周囲の酸素分子を活性化させ、それが染料を分解することもある。これらが原因となって変色が生じる。

 

紫外線

紫外線は、太陽光(日光)や蛍光灯の光に含まれる。太陽光線のうち、地球に到達する光線は、目に見える可視光線と、赤外線、および不可視光線である紫外線がある。

紫外線は、波長が短くエネルギーの高い光で、生物などに最も有害な紫外線(UV‐C)はほとんどがオゾン層によって吸収され、地球上には届かない。紫外線のうち地上に届くUV‐AとUV‐Bは、可視光線や赤外線に比べ、強力なエネルギーがあるため、染料や繊維に大きく影響を与える。

 

紫外線による変色の特徴

紫外線による変色は、光が遮られて陰になる部分は変色しない。変色している部分としていない部分の境目が明瞭で直線的などの特徴がある。

事故の防止対策

紫外線による色の変化は、利用者の保管中などに生じている可能性が高い。しかし、利用者はこうした現象を理解していないために原因がクリーニング処理にあるものと思い込み、結果的にクリーニング店に苦情を持ち込むものと考えられる。

特に、長期保管の可能性がある品物の返却時には、直射日光や蛍光灯の光などができるだけ当たらないようにすることなどのアドバイスが利用者への啓発になる。

濃色品は、変化が目立ちやすく、クリーニングによって汚れが除去されることにより変化が明瞭になることがあるため、受付および洗浄前のチェックが重要になる。

また、預り品を保管する場合は、紫外線を含まない照明を使用することが望ましい。なお、店頭陳列時の照明によって、購入した時点で既に変色していることもあることに注意したい。

衣料管理情報「紫外線による変色」
 
 
クリーニングニュースでは最新の衣料管理情報(クリーニング事故情報)を毎月掲載しております。

※情報をご覧いただくためにはAdobeReaderをダウンロードしてください。