ポリウレタン弾性糸は、ストレッチ性が必要なスポーツ衣料のほか、スーツやスラックス、ニット製品など、様々な製品に使用されています。
今回は、テトラクロロエチレンによるドライクリーニングでポリウレタン弾性糸が吹き出した事故事例を紹介します。
監修/クリーニング綜合研究所
ベストの生地表面に糸くずのようなものが付着していると利用者から指摘を受けたもの。
付着しているものを引っ張るとゴムのように伸縮する。
取扱表示を参照して、テトラクロロエチレンによるドライクリーニングを行ったところ、よこ糸に混用されたポリウレタン弾性糸が膨潤し、糸の中から吹き出したもの。
なお、現品に付けられている表示は、海外表示のみで家庭用品品質表示法に基づく表示がないことから、国内で販売された製品でないことが推察される。
ポリウレタン弾性糸を使用した製品に対しては、テトラクロロエチレンによるドライクリーニングは避け、石油系溶剤によるドライクリーニングを行うことが望ましい。
そのため、製品のドライクリーニング表示は石油系溶剤を指示する表示が望まれる。
ただし、海外では石油系溶剤によるドライクリーニングが普及していないことなどから、テトラクロロエチレンによるドライクリーニングの表示が一般的になっているようである。
ゴムのように伸縮する性質があり、極細の糸を生産することが可能なため、様々な用途に用いられるが、ポリウレタン弾性糸を単独で使用することはない。
ストレッチ素材としては、5%程度で混用するのが一般的。ポリウレタン弾性糸の使用の有無は、組成表示や、生地を引っ張るなどしてストレッチ性を調べることによって確認できる。
ポリウレタン弾性糸は、ドライクリーニング溶剤で膨潤することに注意が必要なほか、高温洗浄や塩素系漂白剤の使用、スチームでの仕上げは避けるなどの注意が必要になる。
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